pwatanabe

会員の皆様、明けましておめでとうございます。皆様に於かれましてはお健やかに新年をお迎えになられたこととお慶び申し上げます。皆様方には日頃から本会の諸事業の推進に深い御理解と御協力を賜りまして、ここに改めて感謝申し上げます。

平成17年11月に端を発した構造計算書偽装問題の再発防止策として『建築基準法等の一部を改正する法律案』が国会に提出され、成立いたしました。以来、審査の厳格化等から確認申請業務に停滞が生じ全国的に問題となりました。国交省はさらに慎重な検討を要するとのことで、『建築基準法の見直しに関する検討会』を設置して、主な議題は、建築基準法の見直しという表題を掲げ、抜本的な改正を考えるという触れ込みでしたが、議題は①構造計算適合性判定制度の対象範囲など、②建築確認審査に係わる法定期間など、③厳罰化に関して、とされていました。検討の内容を要約すると①構造計算適合性判定制度の対象範囲については、見直し不要の慎重意見が提起される一方で、*構造一級建築士が関与した場合に不要とする*自ら完成後の建築物を使用する予定の建築主が同意する場合に不要*不要とする場合のサンプル調査の実施*対象とならない建築物の規模等の範囲を拡大*比較的容易な構造計算による場合は不要、など多様な見直し提案がなされました。②構造計算適合性判定制度の実施方法については、判定機関が自ら引き受けた建築確認に係わる構造計算適合性判定を行うことができるようにする所謂ワンストップ化についてはワンストップ化による審査期間短縮効果は小さいとの指摘や、異なる組織によるダブルチェックを堅持すべきとの指摘がある一方で、第三者性が確保されるような機関内での体制・実施方法や、必要な審査能力を有する人員・体制整備、審査上の役割分担の明確化等を条件に、ワンストップ化をできる様にしても良いのではないかとの意見も出されました。建築確認審査の法定期間については設計の複雑化が進んでいる現況や、諸外国と比して審査期間が短く、最大延長可能な期間の規定を変える必要は無いとの意見も出されました。③厳罰化については、性善説に立ち設計側に対するチェックを緩和するのであれば信頼を裏切ったものは、より厳罰に処すべきとの意見が提起される一方で、罰則は十分強化されているとの慎重意見や、刑事罰の強化よりも業務停止等の行政処分による制裁強化により対応すべきとの指摘が多数ありました。

検討会を通して市民団体・弁護士会の意見は適判審査の一元化などで合理化し簡略化するなどの緩和に向かう主張は業界団体の身勝手な都合に基づくもので、第三者性による的確な審査を求めて導入した制度によって一般消費者の安全・安心を確保しようとした制度を脅かすものであるとの強い意見は強烈でした。今後、我々は慎重に謙虚さを持って、討議・主張を継続していかねばなりません。

さて、建築士会では本年度はCPD制度及び専攻建築士のオープン化の実施へ向けて会員増強を視野に入れた努力をしていきます。

さらに、本年度は、新法人体制へ実務を進めなければなりません。昨年12月2日理事会を開催いたしまして一般社団法人への手続き着手を全員の賛同を得て進めることにいたしました。

本年も私達を取り巻く環境は厳しい問題の山積ですが、私達は建築技術者としての本分に基づき研鑽を継続し、自己に厳しく、職業倫理に則り、誇りを持って、信頼される建築士会を目指して邁進していかねばなりません。何卒、皆様のご協力をよろしく御願い申し上げます。