pwatanabe

会員の皆様、明けましておめでとうございます。皆様に於かれましては、お健やかに新年をお迎えになられたことと心からお慶び申し上げます。皆様方には日頃から本会の諸事業の推進に深い御理解と御協力を賜りまして、ここに改めて感謝申し上げます。

さて、昨年も皆様へ年頭のご挨拶をさせていただきましたが、その冒頭、『今やわが国は政治経済を始めとして社会構造にいたるまで未曾有の大変革の真っただ中にあり、規定の概念や価値観は大きく揺らぎ、新たな構築が求められ、このような変革の時代の中で、我々は複雑多様化する社会の要請に十分応えられる展開を図っていかなければならない』と申し上げました。

しかしながら、今、平成22年が始動するに当たり、以上のご挨拶は全く本年も同様であり、むしろ、さらに下降を続ける経済と相まって、厳しさの度合いは増すばかりとなっているのが実情です。

振り返って見ますと、昨年前半の私たち建築士を取り巻く環境は、平成17年11月に『構造計算書偽装問題』が発覚し、その結果、明らかになったさまざまな課題とその対応として国土交通省で建築確認・検査の制度、建築士制度の見直しとともに、住宅の売主等の瑕疵担保責任履行の為の措置の充実・強化についても審議され、法整備が行われました。以来審査の厳格化から確認申請業務に停滞が起こり全国的に大きな問題となり、弾力的な法の運用が切望されている状況でした。

そして後半は8月末実施されました衆議院議員選挙の結果、民主党への政権交代がなされ、そのマニフェストに主張されている『建築基準法などの関連法令の抜本的見直し、住宅建設に関わる資格・許認可の整理・簡素化等、必要な予算を地方自治体に一括交付する』に現況打破の期待が寄せられました。特に確認申請の認可日数の短縮・提出資料の簡素化・違反者の厳罰化は我々建築士の望むところであります。これ等は国土交通省による建築士会や建築士事務所協会等の継続された意見交換に基づき、いよいよ本年1月召集の通常国会に提出される見込みとなりました。

また一方昭和40年のレベルまで落ち込んで6万件を割り込んでしまった住宅着工件数は景気の先行きに対し非常に危機感が持たれる現況も大きな心配が持たれる所でもあります。マニフェストの具体策にも住宅に関して『リフォームを最重点に位置付け、バリアフリー改修、耐震補強改修、太陽光パネルや断熱材設置など省エネルギー改修工事を支援する』とあり、こうした思想を建築一般に拡大して啓蒙していくことは大事な事と思います。

建築士会では改正建築基準法、改正建築士法に基づく制度について国交省への要望を続けており、『建築確認審査手続きの簡素な運用・小規模建築物の構造設計一級建築士による関与義務の緩和・設備設計一級建築士の不足の解消・エクスパンションジョイントによる連結建物の棟別構造審査の実施・設計図書の保存義務の緩和・既存不適格建築物の増改築制限の緩和』などが主な事項です。

また、『建築士の建築士会への当然加入を法制化すること・CPD制度の非会員建築士、施工管理技士へのオープン化の実施』に関しても建築士会勢力拡大へ向けて努力しております。どうか会員の皆様方、これら士会の方針に御理解を戴きたく思います。

建築士を取り巻く環境は厳しい事がまだまだ山積しておりますが、どんな困難の中にありましても私たちは建築技術者としての本分に基づき冷静に研鑽を継続し、自己に厳しく、職業倫理にのっとり、誇りを持って建築士の尽くすべき役割を果たして行かねばならないと考えております。

本年が厳しい中にも充実した年となりますよう皆様のご支援、ご協力を御願い申し上げ年頭のご挨拶とさせて頂きます。

(社)山梨県建築士会
会長 渡邊正